~社会人基礎力と採用の関係性~
◇はじめに
あなたが所属する組織では、「採用戦略」がうまく機能しているでしょうか。
また、労働者であるあなた自身が成長できる組織でしょうか。
当団体では、採用や人材育成における課題について、「社会人基礎力」の観点から解決に向けた実践に展開できるよう、組織と労働者をサポートしています。
◇「社会人基礎力」とは
経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」をベースにしています。
「社会人基礎力って何?」と思われる社会人の方も多いと思います。
現在、学生の皆様は、大学等の授業で聞いたことがあるかもしれません。
また、看護師や社会福祉士の方は、初任者向けの研修等で聞いたことがあるかもしれません。
(以下、経済産業省のホームページに掲載の内容を紹介します。)
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「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。
「人生100年時代」や「第四次産業革命」の下で、2006年に発表した「社会人基礎力」はむしろその重要性を増しており、有効ですが、「人生100年時代」ならではの切り口・視点が必要となっていました。
こうした状況を踏まえ、平成29年度に開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義しました。社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置づけられます。
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(以上)
2006年に経済産業省が提唱してから、15年以上が経過しています。(2023年現在)初めて聞く言葉であるかもしれませんし、社会人として必要なことだと理解し、既に実行されている部分もかもしれません。
◇採用後のチームビルディング
チームマネジメントやチームビルディングを行うに当たっては、組織内でベースになる部分(土台)が同程度のレベルに達していることが前提でないと、メンバー間や上司と部下とで、行き違いが生じ、チームが機能しない可能性があります。
そのために、組織が労働者を採用するに当たっては、試験を課し、面接を重ねて、この人物がこの組織にとって戦力となる人材かを判断してます。
組織が時間や労力をかけて採用戦略を練ることができれば、組織にとって必要な人材は集まりやすいでしょう。
応募が多い大企業や公務員等では、この「社会人基礎力」の部分について、応募書類や採用面接の段階で、ある程度「ふるい」にかけることができます。
また、組織の中で働く労働者は、個々の価値観を持って従事しています。
労働者自身の性格、考え方、仕事に対する姿勢やモチベーションは様々であり、これらはパーソナル部分として、組織が強要できる部分ではありません。
◇採用のミスマッチ
組織が労働者を採用する上で、①組織で働く上で必要な「技術」とは別に、②採用時から持っていて欲しい社会人としての「ベース」の部分があります。
即戦力が求められる現代社会においては、とりわけ①の「技術」を重視して、採用しています。
人材不足、世代交代を図りたい、人が定着しない…今すぐ人が欲しい、そんなとき、同時に、重要視していなかった②のベースの部分について、採用後に仕事を教えていくうちに違和感として発見され、教える側は苦労し、教わる側は何が起きているのかわからないまま時だけが過ぎ、結局はそもそもが「採用のミスマッチ」だったという事態が起きています。
◇仕事以前の社会人としての部分
教える側としては、「挨拶や返事から教えていかないといけないの?」、「これはどう考えても上司に指示を仰いだり、相談したりすべきことでは?」、「このぐらい自分で考えてほしい、仕事以前の問題ではないか?」など、忙しくて擦り合わせや面談が行われないまま、試用期間も過ぎていきます。しかしながら、「ここまで教えてきた時間も無駄にしたくないし、また別の人材を採用面接からやり直すのは面倒」、「半年ぐらいで一人前になってくれればよいか」などと、一旦は気持ちを切り替えたところで、1年過ぎても成長が見られず、不満が募ります。ここまでくると、指導しても「今さら」になってしまい、放置されることもあるかもしれません。それに対して、チームの中で、不満を持つメンバーも出てくるでしょう。
◇社会人基礎力のフォロー体制
これは、労働者側の社会人としての基礎力が低いことだけが原因ではありません。
雇った以上、組織には責任があり、必要な人材育成を行う必要があります。
採用後、早い段階から、定期的な面談を重ねることで、採用時の面接では見抜くことができなかった労働者自身の持つ「社会人基礎力」を推し量ることができます。
個人毎にベースが異なるため、本来であれば、初期の段階から、直属の上司は、一人ひとりの労働者と向き合い、対話を重ね、成長を見守ることが重要です。
まだまだ、プレイングマネジャーの上司が多く、一人ひとりとをフォローする時間の確保が難しいこともあるでしょう。
◇社会人基礎力の向上とチームマネジメント
「社会人基礎力」は、労働者が組織やチームの一員として機能するための人材として成長するため、社会や組織の中で、労働者が自身と向き合い、その力を十分に発揮し、活躍できるよう成長を促すために活用できる指針の一つです。
チームをマネジメントする上で、労働者の社会人基礎力を伸ばすことが大切です。
組織の中で、新人を育てる職務にある方は、「この新人はどういった家庭で育ったのだろうか(親の顔が見てみたい)」、「社会人としてどうしてこんなこともわからないのか(こんなの基本的なことだろう)」、「どうして自分のことばかりで、組織やチームのことを考えられないだろうか(自分さえよければよいのか)」というような感情を抱かざるを得ない新人に出会ったことはないでしょうか。
そのような感情を持ったまま、その新人を指導することは、お互いに行き違いが生じる可能性が高くなります。
「なぜだろう?」より、「今後どうなって欲しい」を共に考えてみませんか?