「事業所内において、スーパービジョンの実施はされていますか?」
福祉系職種の方にお会いするとき、話の流れや内容によっては、時々このような質問を投げかけます。
「はい」か「いいえ」で答える「クローズドクエスチョン」のため、できていないことを指摘されるようで、相手からすると、「いいえ」とは答えづらいかもしれません。
特に、立場的に、事業所内において、スーパービジョンの実施を促す立場やスーパーバイザー側として、スーパービジョンを実施しなければならない方には、敢えて、端的にお聞きしています。
今は、スーパービジョンを実施できていないかもしれないけれど、将来的には、ぜひ実施していただきたいからです。
「なかなか、できていない」
「時間がない」
「できたらいいけど」
「やり方がわからない」
「スーパーバイザーできる人がいない」
など、皆様、色々な課題、悩み、事情がそれぞれにあるようです。
「そうなのですね…」と相手の「気まずさ」を伴う回答を一旦受け止めます。
明日からでも実践していただきたいのが本音です。
しかしながら、そこの事業所の管理者やスーパーバイザーに代わって、明日からスーパービジョンを実施するわけにもいきません。
どうやったら、そこの事業所内でスーパービジョンの実施を開始できるのだろう?
どうやったら、そこの事業所内でスーパービジョンの実践が根付くのだろう?
そのようなことを考えていくと、やはりその事業所の事情や働く皆様の思いに、個別に寄り沿う必要があることがわかります。
現状として、スーパービジョンの実施が求められる専門職において、そのやり方を学ぶ時間が少ないことが課題の一つとして挙げられます。それを職場での実践に結び付ける部分についても、フォローがありません。また、やり方が合っているか、どうだったのか、検証をする必要もありますが、その機会も少ないです。
さらに、事業所内において、スーパービジョンの実施と併せて、「事例研究」(「事例検討」ではなく)ができているでしょうか?
専門職としての資質を向上するため、人材育成、倫理、メンタルヘルスなどにも、スーパービジョンの実施や事例研究は有用です。そして、そのことは、職員の定着にもつながります。
あなたの職場の中で、もし、スーパービジョンの実施ができていないのであれば、それはなぜでしょうか?
今、できていないけれど、スーパービジョンをしてみたい、その一歩踏み出すため、それを相談できる人や場所はあるでしょうか?
もし、あなたが職場内でスーパーバイザーを務める役割を担っているのであれば、一方で、あなたがバイジーとして、別のスーパーバイザーに相談できる機会も並行して確保しているでしょうか?
あなたは、専門職として、スーパービジョンや事例研究を通し、「省察的実践」をされていますか?それが、あなたの自己覚知につながっていますか?